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自由帳(じゆうちょう)

桑井鳴の自由帳

脳内麻薬

音楽に救われたなんて話は幾らでもある。たとえばこの音楽のメッセージのおかげで自殺を踏みとどまっただとか、音楽を始めようと思っただとか、前向きに生きようと思っただとか、自己を肯定できただとか。また、ある曲が頭の中で鳴り止まないっ状態になることもある。好きな音楽は何度も聴きたくなるし、美しい音楽はそれだけで芸術だ。

ところで、水星という曲がある。tofubeatsさんが今田耕司のブロウヤマインドをリミックスしたものらしい。なぜこの曲に言及したかというと、水星が意味もなく美しい曲であるからだ。

音楽は普通意味を持つ。クラシックは曲調を解釈されるし、現代の歌は歌詞を解釈される。だいたいの場合、この意味づけからはどうにも逃れられない。しかし、一部この意味づけからなんとか逃れる音楽がある。それはテクノやハウスなどの踊れる系音楽だ。あの系統の音楽はクラブで乗ることを基軸に置く。またテクノの音は身体にずっしり重く響く。だんじりの太鼓に近い感覚だ。

ここで水星について考えてみる。水星は踊ることができる。そして、歌詞はあるものの音楽として融け込んでいるので特に意味づけをあまりされない。また歌詞を見てもノることを奨励しているようで、意味を感じにくい。しかし、である。しかし、リズムは身体にシンプルに入ってきて勝手に脳内で流れ出す。都会的で現代的であるというお洒落さを併せ持つので余計に勝手に脳内で流れ出す。最終的には水星が頭から離れなくなり、水星に支配される。

つまり、水星は脳内麻薬である。